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「米粉懇話会2019」基調報告とパネルデスカッション

お知らせ

NPO法人国内産米粉促進ネットワークの令和元年度通常総会後には、恒例の「米粉懇話会2019」が開かれました。今年度のテーマは「ここがポイント!日本産米粉の輸出戦略」で、基調報告とパネルデスカッション「輸出の扉をこじ開けよう」が行われました。

 

 

 

米粉懇話会2019のスケジュール

                          米粉懇話会2019のスケジュール

(HP元年総会懇話会パネルディスカッション全景20190606

               コーディネーターの萩田氏(左)と3人のパネリスト

 

 


                          2団体が2つの テーマで「基調報告」

 

 

「JFOODOが取り組む米粉プロモーション活動」 報告者:大泉裕樹JFOODO事務局長

 

米、仏国に加え新たに独でチェーンベーカリーが対象

 

日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)事務局長の大泉裕樹氏に「JFOODOが取り組む米粉プロモーション活動」と題して報告いただきました。まず、JFOODOの活動の視点として「都道府県、事業者別」から「オールジャパン」へなど4点をあげて取り組んでいること、さらにJFOODOプロモーションの検討手順によって選ばれた5品目7テーマの一つに米粉が入っていることを紹介しました。

 

米粉の着眼点としては、①小麦の代替として潜在市場が大きい②グルテンフリー市場が年々順調に拡大している③国別では米国が最大で全体の48%を占め、フランスは規模は小さいが急速に伸びている④市場の製品別ではベーカリー製品が大きな割合を占めているなどをあげ、訴求対象は、大規模な営業部隊を必要としないチェーンベーカリーとして、2018年度は米国とフランスを対象国とした、としました。

 

2019年は、日本産米粉の商流が確認できる都市として、これまでの米国ニューヨークとフランスにプラスし米国西海岸とドイツでプロモーション行うことを明らかにしました。そのステップとしては、まず参加事業者に商流、物流を確立してもらう。次にJFOODOが広報ツールやウェブサイトを整備する、そして現地のチェーンベーカリーでの取り扱いを拡大していくようなプロモーションを考えている、としました。

 

日本の農林水産物の輸出拡大の共通課題として、ビジネスの主体は事業者(特に生産者)であり、ディストリビューション及び事前の商談が重要である、としました。事前の商談については、①事業者による商談②店頭化③事業者による販売促進活動がまず必要であり、①には商品仕様、消費者が欲しいと言っていること(受容性)がわかるデータ、プロモーション計画が必要である、と指摘しました。

 

日本の象徴的な作物の米で、世界中の人が欲しがっているグルテンフリーで小麦市場にとって代わるというのは大変大事なことだ。私としては米粉を日本を代表する輸出品にしたい、と思っているので皆様もご一緒にがんばっていきましょう、と参加者に呼びかけました。

 

 


「マドリードKOMRKOプロジェクト2018&マドリード・ミラノプロモーション2019」

私たちの取り組み 報告者:CAP.N輸出事業支援事務局(松原博CAP.N専務)

 

商流のきっかけと積み上げをめざす

 

日本米粉協会の輸出支援事業事務局(CAP.Nと兼務)を担当するCAP.Nの松原博専務が昨年11~12月にスペイン・マドリードで行われたCAP.Nが実施主体となった「マドリードKOMEKOプロジェクト」と今年5月に日本米粉協会が実施主体で展開した「マドリード・ミラノプロモーション2019」の取り組みを紹介しました。

 

プロジェクト2018では、セリアック病の患者団体であるマドリードセリアック協会のセリアックフェスティバルに専用スタンド(ブース)を確保、同協会の関連会社でディストリビューター(卸)のSDC社が輸入した260㌔余りの日本産米粉を直売したことをあげ、「2019年5月の取り組みではさらなる商流の拡大の実現をめざした」と強調しました。2019年のマドリードでは、6日間にわたり地元のレストランやグルテンフリーショップのオーナーなどを招いてのワークショップ、予約した一般消費者を対象にした米粉料理教室を開いたことをスライドを用いて説明しました。

 

EU内での商流を拡大させるため、2017年度にプロモーションをしたイタリア・ミラノでも「第1回ミラノKOMEKO試食会&商談会」を開き、ここでは「商流のきっかけをつかむため、いわゆるBtoBとして関係業者を照準にしてショークッキングを行った」。また、ミラノ市があるロンバルディア州のセリアック協会を日本の組織としては初めて訪問し、創設者の一人であるヴァルマラーナ副会長から「イタリアはじめEU内で製品にグルテンフリーを表示するなら(製造事業者が)食品安全の国際基準規格を取得するのが、共通のルールという貴重な提言をもらった」と、説明していました。

(懇話会2019)基調報告№2

                             スライドを使って基調報告をした


 

          具体的なポイントや課題を現場から探る

 

==パネルディスカッション「輸出の扉こじ開けよう」==

 

「米粉懇話会2019」では基調報告の後、「輸出の扉をこじ開けよう」と題してパネルディスカッションが行われました。日本産米粉を輸出するための具体的なポイントや課題とそれへの対応などノウハウを探りました。

 

 パネリスト

大泉 裕樹氏 JFOODO事務局長

小林 宏規氏 小林生麺㈱ 取締役社長

斉藤 充廣氏 野村貿易㈱農産グループ部長

コーディネーター 萩田敏    CAP.N常任理事

 

 

(HP用)懇話会パネラ-3人

                     パネラー3氏。左から大泉氏、小林氏、斉藤氏

 

             販路、価格、商品の安全・安心がポイント

 

萩田  各パネリストの方々からご自分の仕事内容等を紹介願います。

大泉氏 「JFOODO」の「DO」は茶道、武士道の「道」に並び、「食の道」と日本の文化(風土)とともにアピールする姿勢を表現しており、輸出もこつこつ努力をしていくことが、一番大事なことだと考えている。

小林氏 当社は約15年前から米粉麺の製造を行っている。6年前からは輸出に向けて動き始めている。小麦粉によるうどん・ラーメンの製造・販売が3分の2を占め、3分の1が米粉である。

斉藤氏 野村貿易は商社として、約100年前に創始者が作った会社である。入社後20年間輸出入に従事、この間ドイツに3年間派遣され、現在は日本で農産物の輸出入に携わっている。今回、日本産米粉の輸出に協力させて頂いている。

 

 

萩田 それぞれの立場から日本産米粉を輸出するにあたり注意することや今感じているポイントなどを3つあげて欲しい。

大泉氏 1つめは日本産の米粉がどういうモノなのか、どういう魅力があるのか、(食材別、国別含め)他との「差別化」である。2つめは「販路」。いつも買える状態にあること。3つめは「使い方」。現地ベーカリー等外食事業者がベーカリー製品にはどういう米粉を使えば良いかを知っていることがポイントだと思う。

小林氏 苦労した点をあげるが、1つめはディストリビュータというか問屋さんに苦労した。2つめは「価格」だ。3つめは、どれだけ売りたいのかが明確ではなく選べない状況が続き、どこに向けてどれだけ作ればよいのかが、なかなか掴みにくかった。

斉藤氏 輸出入をしている立場からは、1つは扱うものが食品なので、商品が安心・安全であるか、を伝えていくこと。それを表す手段としては、(商品の)分析や継続して生産できる体制、が必要だ。もう1つは国によって異なる添加物の基準を知る事が重要である。

 

 

萩田  販路を作るにはどうすればよいか?

大泉氏 すぐに開拓できるものではない。現地のスーパーに行き、商品の裏のラベルを見て、どこが扱っているのかチェックしその会社の財務状況を調べるまでして、何度も何度も交渉に行くなど努力していくことだと思う。そのために重要なことは、1つめは「絶対に輸出する」という強い意志を持つこと。2つめは、商流構築の支援メニューを用意している全国のジェトロを頼ってもらいたい。

小林氏 ジェトロさんにお世話になって、アメリカで2年間4回の展示会を行った。好評を得たが、「どこで買えるのか?」と尋ねられることが多く、現地で日本人の問屋さんを探した。だが、まだグルテンフリーについての理解がされておらず、「必ず売れる物を仕入れする」という感じで、3~4年は取り扱いされなかった。それでも展示会を繰り返しているうちに、自分で売り歩こうと考え10社位の売り先を確保して、価格や数量などを決めて動き出した。2018年のマドリード、バルセロナでの展示会に参加した時も、グーグルで「レストラン・ラーメン」を検索して、直に訪ねて行った。ニーズがあればそこに向かって行くことだと、思う。

 

           調理を一緒にやり商品への信用を獲得

 

萩田 これまでEUなどに行くと、米粉の輸出がなかったことから、今後どうすれば輸出できるようになるのかについて3人のかたに語って頂きます。先般のスペインにおいても、ラーメンなどは知られているが、こういう使い方をしたらどうですか、という提案をするとスペインの人もかなり興味を示していた。今後はどうアピールしていくかが大事であると感じました。

大泉氏 まずは現地でサポーターを見つけることが重要となるので、ジェトロに聞いてほしい。そして相手の悩みを聞いて、それには日本産の米粉ではこういう風にやれば簡単に解決しますよ、というアプローチをする。

 

 

小林氏 スペインでの話になるが、萩田さんが現地で米粉を使った料理教室を行っていた。私はこれまで試食サンプルを配ったことはあるが、調理教室はやったことがなかった。展示会等の内容によって、違うとは思うが、調理を一緒にやるというのが大事だなと思った。見る人が一緒に調理して食べてみるというのが良いとおもう。現地のシェフも参加し、食べてみることで、彼らも納得するし、素人でも私にもできる、と感じられることは重要だ。このことで商品に対する信用、我々への信頼も高まる。弊社で開発したミックス粉をアメリカに輸出し、提携契約した現地業者で麺を作って販売している。これも一緒に作ることと同じであり、現地で作ることで粉を売るだけで済み、カップ麺の容器などは不要となるので、輸出費用も抑えられる。粉を輸出するだけでなく、その粉でどういうものを作るのか、というコンサルをしてあげることが重要だ。

斉藤氏 前提条件として日本産米粉は高い、ということがある。だからその付加価値をいかにアピールしていくかがポイントになる。今回のように試食会をしたり、調理方法を教えたりすることで日本産米粉のファンを増やすことで、商流につながると思う。

 

            食品安全の国際規格取得は必要

 

萩田 次に、課題の克服はどうされて来たのか、伺いたいと思います。価格・輸送方法、EU基準、HACCPなどや、賞味期限、パッケージの表示方法などについて聞きたいと思います。まず「価格・輸送面」についての克服について、斉藤さんからお願いします。

斉藤氏 日本メーカー1社ではなく複数のメーカーによる輸出をしており、なるべく輸出コストを下げることで取り組んでいる。今回イタリア、スペインに対しても複数の業者さんから輸出してもらった経過があるので、今後もそうしたいと思う。

小林氏 価格は割り切って考えている。日本産については付加価値をつけて高く売る。アメリカで製造するのは安く、同類の他商品と比較して良い商品を売る。輸出する場合には、「1パレット」ではなく「1コンテナ」で送るようにすれば安くなる。アメリカ国内では、自社で流通手段を持っているところと提携すれば当然安く運べることとなる。

 

 

大泉氏 価格の構成要素に流通マージンというものがあるが、海外の輸入商社のマージン率が非常に高いことがある。これは、売れるかどうか分からないものに対してのリスク回避するために高くなっている。こちらとしては、これは売れるという姿勢を見せることが重要だと思う。

斉藤氏 米粉を日本食材として売るのか、グルテンフリーとして売るのかで分かれてくる。グルテンフリーとして売るには、日本でEUでの認証を取るために、日本のメーカーにとてはHACCPもしくはISOが必要となる。まず、セリアック協会の本部であるイギリスの団体が指定する日本の認証機関「SGS」の査察を受ける。その後、HACCPまたはISOを取得してからイギリスの認証団体に申請する、という流れとなる。個人的には、日本においては認証というよりHACCPやISOの考えに基づいた工場運営、製造記録の管理を行っていくことが重要だ。

小林氏 ISO9001を取っているが、HACCPは取っていない。いずれ取らねばならない。EUやアメリカに輸出するためには、工場を建て替えないと取れない。資金的に厳しいものがあるが、先々代、先代が培ってきた技術を絶やすわけにはいかない。ただ、今は難しいので、HACCP等の国際基準規格を持っている所とのOEMで進め、結果を残し、いずれ自社で規格を取りたいと考えている。

 

           賞味期限は1年、包装の裏面には詳細情報

 

萩田 まずは相手国の基準に合わせた認証を取る方が手っ取り早いと思うが、いずれは国際規格が必要となる。次に、賞味期限について意見を聞きます。

小林氏 今当社が輸出しているのは、生麺とインスタント麺のグルテンフリーだが、両方とも国内でも販売している。生麺の賞味期限は半年で出した。最初は1年でスタートしたが生で1年は長いのでは、という声があって、良いイメージではないので、敢えて半年とした。海外では逆に半年では短いというので、1年間とした。商品やその国によって表示を変えている。

斉藤氏 輸送についてだが、日本からヨーロッパには約1か月かかる。着いてから3か月しかない、というのでは売れなくなる。最低1年の賞味期限が必要となる。日本では敢えて短くしていることが多いので、海外への商品との差について、なぜそうなるかという説明を求められる。

 

 

萩田 海外向け商品の賞味期限に1年が必要である。話は少し違うが、今回調理提供をしてラーメンについてはつゆが必要だ、と実感した。次に、パッケージへの表現について伺います。

大泉氏 現地に受け入れられるという観点からは、日本のパッケージは表面の表記は盛りだくさんだが、裏面は十分でないことがある。欧米での表面はクリーンな表記でよいが、裏面には使い方など細かい情報が必要だ。

小林氏 表面は簡単に分かりやすい特徴を打ち出し、裏面には詳細情報を書き入れている。海外で売るラーメンには何分ゆでるのか、食べ方はどうするのかという情報をのせ、同時にWEBサイトにも掲載している。食に興味がある人、ましてやグルテンフリー商品に対しては詳細に調べる傾向がある。それに応える情報が必要だ。

 

 

斉藤氏 EU系のパッケージの表現は日本と似ている。日本では糖質の表現をするが、EUでは糖類を表現するように要請されている。

萩田 私たちも地道に活動していかなければならない。本日のパネラーの皆様のご意見を踏まえて、これからも米粉商品の輸出促進に寄与して、少しでも多くの目標を達成できるようにしていきたいと思います。

 

 

60人余りの参加者は熱心に耳を傾けていた

                            60人余りの参加者は熱心に耳を傾けていた